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2018年度開催地 - 東京大学

今年8月に行われる第12回のSTeLAフォーラムは日本の東京大学で開催されます. 今年のフォーラムのテーマはSmart Cities and Internet of Thingsです. 

8月7日から16日の期間、日本、中国、中東、アメリカ、ヨーロッパ等の一流大学の学生がSTeLAフォーラムに集い、技術進歩やリーダーシップを論じ合います。参加者はMIT Leadership Centerのリーダーシップモデルに基づいた理論を学び、文化を超えた仲間たちとグループワークをするようになります。密度の高い日々を過ごすことで世界規模で物事を見る力と、未来の世界をともに担うリーダーたちとのつながりを得ることができます.  *応募を締め切りました(5/13).

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毎年世界中から40-48名の学生を集めて国際フォーラムを開催しております.これまでMIT,スタンフォード, 東京大学, デルフト工科大学, 北京大学, 清華大学などトップティアの大学にて開催致しました. 

Events

各世界支部(米国・日本・欧州・中東・中国)では, 定期的にイベントやワークショップなどを開催しております. 日本でのイベント及びワークショップなどは、Facebook ページを通じてご確認ください.

Media

弊団体はFacebook・TwitterなどのSNSを通じて最新情報を常に更新しております. 興味のある方は是非、弊団体ページをご覧ください.

2017年のSTeLA Leadership Forumでは世界中から36名の参加者が集まり、オランダで最も歴史のあるライデン大学で切磋琢磨しながら9日間のセッションを行いました. それぞれ異なる文化や10種類以上の多岐に及ぶ専攻の参加者が“Technology, Responsibility, Society”に関するトピックについてディスカッションを行い、その中で様々な化学反応を起こしながらお互いの考えを深め合うことができました. 参加者は主に日本、中国、ヨーロッパ、中東からの学生で、このフォーラムを通して国際的な親睦を深めることもできました.
 フォーラムでは5つのリーダーシップに関するセッションが開催され、参加者はリーダーシップ理論とその応用を学びました. また分科会では、ディスカッションを通じてフォーラムのメインテーマである“Technology, Responsibility, Society”についての事柄について議論し、リーダーシップ理論を実践的に活用する機会が与えられました. さらにキーノートスピーカーによるプロフェッショナルの視座からの講演もあり、参加者は包括的なリーダーシップの理解を目指しました.
 毎日のセッションの中で、参加者はリフレクションセッションという反省会をする機会が与えられ、自分自身の一日の取り組みを評価し、その後グループでの反省会を通して参加者同士、ファシリテーターからフィードバックを受け、日々向上していくことができました.
 ディスカッションのみならず参加者はフォーラムの中でライデン大学が管理している1633年から続く伝統的な展望台を見学する機会もあり、観測技術の発展と新たな発見に関する科学の歴史について、現地の修士 と 博士の学生からの説明を受け、科学に関する知識を深める事ができました.


分科会

参加者は、グループごとに様々な角度から2017年のテーマ‘Technology, Responsibility, Society'に関連した議論を行いました. リーダーシップセッションで学んだことを実践するとともに、未来の社会におけるテクノロジーの側面に考えるセッションとなりました.

ロボット、人工知能との共存

全てのテクノロジーには長所と短所があり、開発者の思ってもいなかった形で使用されることもあります.技術を社会に導入する前にそのようなことを考慮することは、将来の科学者として重要だと考えます.
このセッションでは、未来の世界におけるロボットや人工知能の立ち位置について議論することで、人間社会がどのような影響を受けるかを予想しました. 各々が夢の技術について考え、その技術の利点や欠点について想像を膨らませ、ロボットと人間が共存する世界の中で、「国のトップになる権利をロボットに与えるか」などの与えられた問いについてディスカッションを行いました. 最終的には未来の世界をグループごとに絵にして発表しました.

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ブランチング・アウト

このセッションでは、参加者全員が、IT業界の変遷を模した「分岐ゲーム(ブランチング・アウト)」を通して厳しい状況での判断力を鍛える経験をしました.
センスメイキングの実践として、このゲームは複雑なシステムを短時間で理解し正しい選択をする力を要求しました. また資源の取引という選択肢を活用することで物事の関連性を把握する場となりました.

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インフラストラクチャー

インフラは現在の社会で大きな役割を果たし、国の繁栄をも左右します. このセッションで参加者はインフラの重要性を議論するとともに、インフラを発展させていく様をシミュレーションしたゲームを行い、協力し、先を考える力を鍛えました.
グループのメンバー一人一人がオランダの都市の代表として、どのように投資して、都市、または国全体のインフラを充実させていくか、バランスを考えるセッションとなりました. 複数のステークホルダーが存在する中で先を予想する難しさを参加者は実感しました.

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施設訪問:ライデン天文台

STeLA リーダーシップフォーラムの施設訪問では、参加者はスタッフとともにライデン天文台を訪問し、ライデン大学の天文学部の修士生、博士生に案内していただきました. このツアーはライデン大学の提供をいただき、行われました.
ライデン大学は1633年からこの天文台を所有し、教育・研究のために使用してきました. 1861年の増築により、ライデンにおける物理の黄金時代は始まり、オネス(超電導)やローレンツ(ローレンツ力)、ゼーマン(ゼーマン効果)などのノーベル賞受賞者を含む優秀な研究者を多く輩出しました. 現在は、研究機関ではなく、歴史ある大学の象徴として保存されています.  
参加者は、オランダの科学者たちによる天文学や物理学の発展を学び、約1世紀前に使われていた望遠鏡とその仕組みを見学しました.

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2016年のフォーラムは沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催し、様々なバックグラウンドを持った学生が参加しました. 参加者にはオランダ、中国、日本、オーストラリア、UAEなどの一流大学から学部生、院生、博士課程学生合わせて40名が集まりました. 参加者の専攻は工学、生物学、政治学、経済学、薬学と幅広い分野にわたり、その結果として参加者間での興味深い化学反応が見られました.
今回のキーノートスピーカーにはOISTのジョナサン・ドーファン元学長、OIST男女共同参画担当副学長のマチ・ディルワース博士、北野宏明OIST教授をお迎えしました. ドーファン氏は過去に米国スタンフォード大学が運営するSLAC国立加速器研究所(旧スタンフォード線形加速器センター)の名誉所長などを歴任したのちOISTの学長に就任されました. ディルワース博士は24年間アメリカ国立科学財団(NSF)に在籍し、国際科学技術室長も務めました. 北野博士はソニーコンピュータサイエンス研究所取締役社長およびCEOやシステムバイオロジー研究機構代表も在任し、ロボカップの創立者や犬型ロボットAIBOの開発者としても知られています.


分科会
毎年テーマは分科会で具体化、現実化されます。分科会は参加者にとってフォーラムの前半で学んだリーダーシップスキルを試す機会となります。また、科学技術に関連する最新の話題について学び、議論する場にもなります。2016年のフォーラムのテーマは「科学技術の未来」でした。今年の分科会の詳細は以下の通りです。

A New Community for Science and Technology Development
科学技術の発展のための新しいコミュニティ

 情報技術(IT)は日々の生活の面でも科学技術研究の面でも、情報共有の方法を変化させました。ITはまた科学者間の情報共有の不備を防ぎ、研究に効率と革新をもたらす可能性を秘めています。
 このセッションでは、科学者の間に広がる問題を解決するための技術を使って、科学のコミュニティを構成する新しいプラットフォームを提案することが求められました。これを実行するには、現在のプラットフォームを分析し、未来の科学コミュニティの傾向を予測する必要があります。


Medical Innovation in Okinawa
沖縄における医療革新

 日本本島と何百キロも離れているため、沖縄では日本で行われている医療サービスが十分に提供されていません。このセッションでは、医療科学の最先端の成果の一つである外科医療マシン、Da Vinciを扱ったロールプレイを行いました。
 参加者は、外科医、病院長、官吏、沖縄の住人、の4役に分かれて、Da Vinciを2025年までに沖縄の医療に組み込むかどうかを議論しました。各々に異なったメリット、デメリットがあり、全員が納得する結論を出すのは簡単ではありません。最終的な目標は、沖縄医療の規則・規制を定める2025年までの医療計画を作ることです。


The Ethic of Automation
自動操作の倫理

 未来の技術社会に関して、多くの人がロボットや自動操作をまず最初に思い浮かべるでしょう。自動運転車が我々の生活に浸透していくにつれ、この分野は多くの関心を集めています。この技術が関心を集めるのは予想されたことでした。しかし、現在広く受け入れられている技術、飛行機の自動操縦と比較してみるのはおもしろいことではないでしょうか。
 このセッションでは、参加者間で自動操縦技術の倫理に関する議論を行いました。科学技術はどこまで許されるのでしょうか。社会が間違った方向へ行こうとしたとき、止めるのは誰なのでしょうか。


Think Extreme!
常識をぶっ壊せ!

 ”世界を変えられると信じる変人だけが、世界を変えられる。”―北野宏明  北野宏明教授(OIST教授、RoboCupの創始者)の活気あふれるご講演に基づき、このセッションThink Extremeでは教授の教えを実現することを目的としました。彼の教えは:創造的になれ、野心的になれ、そして勇気を持て。
 参加者は”extreme”な物を考えなければなりません。方法としては共同のブレインストーミングで、出来たものをA4用紙を用いて発表しました。その後、参加者はお互いのアイディアを評価し、その評価に基づき何がより”extreme"なのかを考えることができます。また、このセッションを通して、大衆に自分のアイディアを売る、という練習もできます。


施設訪問:OIST オープンエネルギーシステム及び研究棟のツアー

STeLA Leadership Forum 2016では参加者及びスタッフが沖縄科学技術大学院大学をより深く理解できるキャンパスのツアーに参加し、研究施設や敷地内で行われているオープンエネルギーシステムを見学しました。

オープンエネルギーシステム(OES)は、OISTの教員宿舎の家庭用電力を太陽光発電で生成した自然エネルギーでまかなうようにする、OISTオープンバイオロジーユニットの北野宏明教授およびソニーコンピュータサイエンス研究所のチームが考案したオープンエネルギーシステム(OES)の実証研究です。太陽エネルギーから電力を供給することはすでに珍しくないものの、このシステムの驚くべきところはマイクログリッド構造によるエネルギー供給の安定感です。北野教授が考案したシステムでは、家庭のエネルギーサーバーをDCマイクログリッド状に繋げることによって、各家庭に日照量のムラがあっても全体に均等にエネルギーを供給することが可能になります。不安定なエネルギー源である太陽光に対して、このシステムは持続的に複数の世帯に電力を安定的に供給できる画期的なものなのです。

さらにOISTの研究棟では、科学技術分野の先端をリードするような研究、そして研究者間の交流が行われています。OISTではコラボレーション、共同研究できる研究者の育成をも目指しており、学生が自分の専門分野だけに偏らないよう、研究分野間の境界がないような構造、デザインになっています。OISTの学生であれば、専門にかかわらず研究等にある機械や道具を利用することができ、分野にとらわれない研究も実現可能です。OISTの学生が実際にどのような研究を行っているのかも直接聞くことができ、参加者(スタッフ含め)自分が学びたい分野、研究を行いたい内容について考えさせられる機会を与えてくれました。

以下は、我々が訪れた実験室の代表である教授群です:

・北野 宏明 教授 (総合オープンシステムユニット)
・政井 一郎 准教授 (神経発生ユニット)
・横林 洋平 准教授(核酸化学・工学ユニット )
・ケシャヴ・M・ダニ 准教授 (フェムト秒分光法ユニット)
・イェ・ジャン 准教授 (生体模倣ソフトマターユニット)

 2015年フォーラムは中国・北京大学にて開催されました.シリア, ドイツ, UAE, オランダ, インド, 米国, パキスタン, スイス, バングラデシュ, 中国, 日本, インドネシアなど世界中から選抜された40人が北京大学スタンフォードセンターに集まりました. フォーラムでは参加者同士で互いの国,文化,歴史について共有するだけではなく,将来の夢やキャリアなど,より個人的な話題を取り上げる様子も見られました. フォーラムでは米国,ヨーロッパ,中国,日本の各支部からの学生がグループに参加するため,文化圏の違う人々との共同作業に戸惑う参加者も現れましたが,他では味わえない経験が出来たと考えています.
  2015年度のテーマ『Era of Information』では, Jeremy Chau様にキーノート・スピーカーとして講演頂きました. Mr. Chauは103人目のエンジニア正社員として, Googleのベンチャー時代を経験し, 中国法人の立ち上げにも寄与するなど, ITインダストリーに精通した経験と知識を有しています. Google退職後にはエンジェル投資家として活動するだけでなく, Jide社を立ち上げるなどスタートアップの起業も行っています. 様々な経験を持つ氏からリーダーシップやビジョンなどについて講義いただき, 参加者や運営側にとって非常に貴重な機会となりました.  リーダーシップセッションではリーダシップ理論, チームワーク, 人間関係についての講義を通じて, 組織で活躍する方法論のみならず, 組織効率化の実践的アプローチなどを学びました. また, このセッションでは本フォーラムのサブ・テーマに基づいたInternet of Things(IoT)を利用したプロトタイプをグループと共に製作し, 学んだスキルや知見をより現実に近い, 相互理解が必要とされる環境で実践することができました.

 


サブテーマ
本フォーラムのテーマはIoT,サイバーセキュリティ,人工知能,ビッグデータの4つのサブテーマに分かれています.テーマ別セッションでは各サブテーマにまつわる問題について学び,STeLAがワークショップで課題を出す前に,簡単な説明を行いました。

Internet of Things -モノのインターネット

 ”インターネットという概念は将来無くなるだろう。数え切れないほどのIPアドレスや機器、センサー、あなたが身につけているモノ、あなたが双方的に使用しているモノなどの存在にあなたはいつか気付かなくなる。なぜなら、それは常にあなたの周りに存在しているからだ。.”―エリック・シュミット ,Google 元CEO

 エリック・シュミットが世界経済フォーラムにて発言したメッセージは, 我々の日常において現実味を増しています. 情報技術は特筆すべき勢いで進化し, インターネットは私たちにとって, 以前よりもより身近なものとなってきています. 現在はパソコンやスマートフォンなどの電子機器などに限らず, 生活品や交通機関, 農業,金融など全てのインダストリーに情報技術が応用され、私たちの生活のありとあらゆる場面で, 気づかないうちに情報技術が使用されているのです. レガシー産業にも侵食しつつあるインターネットは, それこそ私たちが吸っている空気のように,「常に存在しているのが当たり前」のものに将来なっていくということを, エリックは予言しています.
  IoTセッションでは, まず最初にIoTの概念及び今後の活用手段などをレクチャーを通じて学び, 次, ワークショップでIoTを利用したアイデアをグループ内で議論し, 制限時間内にグループで複数のプロトタイプを作りました. 実際にアイデアをプロトタイプにまで落とすことで, 参加者に実践的な学びの機会を提供しました.
 


AI - 人工知能
  近年, 人工知能が話題になっていますが, 人工知能の歴史は20世紀中盤から始まっています. 機械による計算が可能になり, コンピュータが開発されると, 今まで哲学・数学・論理学・心理学などの分野で論じられていた「人間の知的活動を行う機械」を作る試みがいくつか始められました. C.ShannonやA.Turingによるチェスのプログラムの作成やM.MinskyとD.Edmondsによる人工ニューロンの制作などの試みがこれにあたります. 紆余曲折な過程を経て, 単純計算とは異なる知的アウトプットを生み出せる技術が可能であることが証明された結果, 近年では進化した人工知能の商業的活用が注目されています. 単なる計算論的な証明から, 商業的活用における実装までに進化したのは, 1980年代におけるニューラルネットのバックプロパゲーション(ニューラルネットワークを学習させるための教師あり学習)・アルゴリズムの再発見が大きく寄与したとされています. イギリスの理論物理学者スティーブン・ホーキング博士やSoftbank会長の孫正義は, 人工知能が近未来において人間の知能を超え, 300年前の産業革命から生まれた機械によってパラダイムシフトが起きたように, 情報技術のビッグバン, つまりシンギュラリティが起きると語っています.
このセッションでは, Lenovo Vice PresidentのMr. Ying Huangにお越しいただき, マシーンラーニングやLenovoでのR&Dについてお話しいただきました.「まだAIは人間の時期でいうと赤ちゃんのような状態であり, 今後もさらなる研究が必要となってくる. だが, 将来におけるAIの潜在能力は凄まじいものだ.」など,IBM Watson研究所の一員でもあり, 人工知能分野の第一線で活躍されるMr. Huangの講演は非常に興味深いものとなりました.


Big Data- ビッグデータ
 ビッグデータはその言葉通り, 情報の量的側面を指し, 事業に役立つ知見を導出するためのデータとして今後より一層社会で活用されることが期待されています. また, データ規模のみならず, どのような構成・特徴が重視されているのかという質的側面において, 従来のシステムとは違いがあると考えられています.ビッグデータを用いれば, 私たちがこれまで分析することが不可能だと考えていたことが, 可能になります. 現在既にウェブサービス分野では活用が進んでおり, オンラインショッピングサイトやブログサイトにおいて蓄積される購入履歴やエントリー履歴, ウェブ上の配信サイトで提供される音楽や動画等のマルチメディアデータなどはビッグデータとして活用されています. 今後活用が期待される分野の例では, 位置, 乗車履歴等のセンサーデータ, CRMシステムにおいて管理されるデータやといった様々な分野のデータが想定されており, さらに個々のデータのみならず, 各データを連携させることでさらなる付加価値の創出も期待されています.
 このセッションでは, STeLA China支部が作成した独自の戦略ボードゲームを通じて,ビッグデータの活用方法や効率化, リスクなどについて他グループと競い合いながら学ぶワークショップを実践しました.


Cybersecurity - サイバーセキュリティ
「なぜ, サイバーセキュリティは重要なのか?」 「そこに脅威があるからだ.」 サイバーセキュリティとは, 年々と複雑化・高度化するサイバー攻撃に対する防護策のことを指します. 個人情報から国家機密情報まで, あらゆる情報がインターネットに接続されており, それらを守るために政府や(非)営利法人のみならず個人レベルにまでにサイバーセキュリティに対する意識は浸透しつつあります. 情報社会に生きる私たちにとって, 知っておくべき分野の一つであることは間違いありません.
 このセッションでは現在360株式会社のCTO及びCPOを務めるXiaosheng Tan様にお越しいただきました. データセキュリティのプロフェッショナルから参加者はサイバーセキュリティの基礎知識を学び, 後にQ&AセッションでTan様とのインタラクティブな時間を設けました.


企業訪問: Lenovo北京本社・Microsoftリサーチアジア
Lenovoは現在世界屈指のテクノロジー企業であり, 中国国内のPCメーカーからグローバルPCメーカーの地位を確立しました. 過去10年の間, レノボはPC市場シェアで1位, スマートフォンで世界3位, x86サーバーでも世界3位と, 著しい成長を果たしてきました. Lenovoは巧みな買収戦略でも世界で評価されています. IBM PCビジネスの買収は, レノボをグローバル企業へと変え, 且つPC業界全体を変えた出来事となりました. その時以来, レノボは世界で最もイノベーティブなパーソナルテクノロジー企業となるために, 絶えず多くのことにチャレンジしました. さらに, 買収はその後の事業拡大の基礎を作り, スマートフォン, タブレット, サーバー, そしてエコシステムと続く現在の成長エンジンの最初の成功となりました.
 マイクロソフトリサーチアジアは, 1999年に, 同社3番目の研究所として中国・北京に設立された. 約220人の研究者が在籍し, 米国本社の研究所の250人に次いで, 2番目の規模を誇る. MSRAでは, ナチュラルユーザーインターフェース, データインテンシィブコンピューティング, データマルチメディア, コンピュータサイエンス, サーチの5つの分野において研究開発を進めており, これまでに3000以上の論文を発表. そのうち20以上の論文が最優秀論文賞を受賞しています.「すべての研究において, その分野の最先端の研究領域を拡大すること」,「革新的な技術を速やかにMicrosoft製品に技術移転すること」,「Microsoft製品の将来性を確実にすること」という基本的な姿勢のもと, 遺産保護, ヘルス, クラウド, 教育という4つの領域において, 研究開発を進めており, さらに大学との産学連携をはじめ, 110以上のプロジェクトでの研究開発を進めています.

 Lenovo 本社

Lenovo 本社

 日本支部参加者・運営@Microsoft Research Asia

日本支部参加者・運営@Microsoft Research Asia

 2014年フォーラムはナイジェリア,UAE,オランダ,ノルウェー,米国,フランス,スイス,英国,中国,日本,インドネシアなど世界中から選抜された50人の参加者が米国スタンフォード大学に集まりました. 年齢, 文化, 専門分野等, 多様な背景を有する参加者達は,互いの国,文化,歴史ついて共有し,好きな音楽や映画といった,より個人的な話題を取り上げる様子もフォーラム中に多々見られました.参加者に多様性からの連携を学んでもらうためにも, 各グループには必ず米国,ヨーロッパ,中国,日本の各支部からの学生が参加しました. 異なる文化圏のチームメイトとの共同作業に戸惑う参加者も多かったものの,STeLAならではの経験を提供できたと考えております.
 2014年度のテーマ『Health and Bioethics』に関しては,Manu PrakashとHank GreelyにKeynoteスピーカーとして参加していただきました.Prakash様にはコストを1ドルに抑えた顕微鏡の開発について紹介していただき,発展途上国における教育の重要性についても講演していただきました.Greely様にはバイオテクノロジーと生命倫理について講演していただき,発展し続ける技術とどのように付き合っていくのかを考える素晴らしい機会となりました.
 リーダーシップセッションではリーダシップ理論,チームワーク,人間関係についての講義を通じて,他者の意見の理解と尊重を学びました.また、このセッションでは本フォーラムのテーマに関連した教育ボードゲームの製作をグループとして行うことで,学んだ理論をより相互理解が必要とされる環境で実践する場を設けました.


サブテーマ
本フォーラムのテーマは遺伝子操作,健康情報学,個人ゲノミクス,倹約的イノベーションの4つのサブテーマに分かれています.テーマ別セッションでは各サブテーマにまつわる問題に触れ,STeLAが課題を課す前に,簡単な説明がありました.

遺伝子操作

 ”大いなる自然に干渉しようとしているだけではない.私は,自然もそれを望んでいるのだと思う.”―Williard Gaylin,精神病医,生命倫理学者

 工業, 農業のみならず, 様々な目的で世界中の研究室で生命の操作が行われています. ウイルスはバイオ燃料の製造のために,マウスは医薬研究目的に,そしてジャガイモは害虫に対する耐性を持たせるために遺伝子が操作されています.また、昨今ではトランスヒューマニズムの分野で人間の遺伝子操作さえ行われています.遺伝子操作によって生み出された生物が社会に絶大な恩恵をもたらす一方で,生命倫理や公共政策の法整備等の問題があります.遺伝子組み換え作物が飢餓の解決に繋がるにも関わらず,生命倫理とのジレンマにより未だに商業化されていない現状は, その一例でしょう.
 このセッションでは研究室の中の技術と現実世界における意識との乖離を理解し,その2つを繋げることを目的としました.『この技術の生命倫理問題とはなんだろうか.科学技術の倫理的な限界点は何か』といった議論が交わされました.


健康情報学
  今後の医療改善には健康情報学は不可欠なものとなるでしょう.カルテをはじめとした医療情報は紙媒体とデジタルが混在しており,診療所,個人開業医,病院がそれぞれ異なるシステムで管理しています.この不統合が効率性を大きく損なう要因だとして、多くの企業はソフトウェア開発などによりこれを統一しようと考えています. 生命医療工学に携わるエンジニア達は,医療と環境データが正確に効率よく手に入るグローバルなシステムを実現しようとしています.これによって,個人個人にあった医療を提供したり,パンデミックのような世界規模での非常事態に備えたり,化学・生物兵器の戦争に備えたりすることが可能になります.
このセッションでは患者に医療を提供するゲームライクなシミュレーションを行いました.予想外の事態の変化もセッションに組み込まれており,リーダーシップワークショップで学んだ内容の実践が求められるセッションが設計されました.


個人ゲノミクス
  個人ゲノミクスは現在活発に発展している分野の一つであり,今後は個人ゲノムを安価で正確に解析することが可能になるでしょう.幅広い効能を持つ薬を異なる患者に処方している現在のシステムに対し,遺伝子情報のさらなる理解が進むことで,患者一人一人の病状にピンポイントで効く薬の開発が現実のものになります. 2000年初期は40,000個ある人間の遺伝子の解析に1億ドルかかっていたものが, 2014年では1000ドル程度が標準的な価格になるほど, この10年だけでも目覚ましい発展を遂げています.個人ゲノミクスのさらなる発展は多発性嚢胞腎や嚢胞性線維症に代表される遺伝子病の解明と予防につながるでしょう.一方,遺伝子解析を行う企業の中には, クライアントが将来かかる病気をゲノム解析により予知することが可能としており,話題を呼んでいます.
 このセッションでは『親は子の形質に関する遺伝情報について知るべきだろうか』,『子供を作るという過程において,親の遺伝子をランダムに配列するより人工的な遺伝操作を望むようになるのだろうか』,『自分の生き方を遺伝子の情報に基づいて決めるのは正しいのだろうか』といった問題について個人・グループで深く考えるようデザインされていました.


倹約的イノベーション
 倹約的イノベーションとは,先進技術を用いず,その環境に存在するもので新しい発明を行うことです.アフリカではビールの醸造を大麦の代わりにソルガムで代用したり,フィリピンでは漂白剤と水を用いた明かりを発明してたり, これらは倹約的イノベーションの好例です.倹約的イノベーションは発展途上国では革命的なコンセプトですが,先進国でも持続可能な社会の実現のために重要です.  
 このセッションでは倹約的イノベーションが医療にどのように適用できるかについて集中し,参加者には世界のどこでも使えるような素晴らしいアイデアのブレインストーミングを行いました.ブレインストーミングでは, 数々の斬新な発想が生まれていました.


企業訪問: Genetech サンフランシスコキャンパス
 Genetech Inc.とはベンチャーキャピタリストのRober A. Swansonと遺伝子組換のパイオニアである生化学者のDr. Herbert Boyerによって1976年に起業されました.1973年にBoyerと同僚のStanley Norman Cohenが制限酵素を用いることで特定の遺伝子の破片をまるでハサミのように切り取り,同じように切り取られたプラスミドベクターに導入できることを実証しました.
その後Cohenは一旦アカデミアの世界に戻ったものの,SwansonはBoyerとコンタクトを取り,起業の話を持ち掛け, 1976年にGenetechを起業するに至りました.Boyerは同僚とともに1977年に人間の遺伝子をバクテリアに導入することでホルモンの一種であるソマトスタチンの製造に成功し、後に1978年にインスリンの合成にも成功しました.現在Genetechは市場に多数のバイオ製品をリリースし,有望な開発陣を持つバイオテクノロジー業界のリーディングカンパニーです.
Genetechは2009年にスイスの世界的製薬・ヘルスケアカンパニーであるRoche Groupの一員になりました.合併契約により,RocheとGenetechは米国での製薬業務の提携を行いました.現在,Genetechサンフランシスコキャンパスは米国内におけるRocheの製薬業務のHQとなっています.企業訪問では,参加者は細胞培養と浄化を含む製薬プロセスにかかわるプラントの見学をしました.