2017年のSTeLA Leadership Forumでは世界中から36名の参加者が集まり、オランダで最も歴史のあるライデン大学で切磋琢磨しながら9日間のセッションを行いました. それぞれ異なる文化や10種類以上の多岐に及ぶ専攻の参加者が“Technology, Responsibility, Society”に関するトピックについてディスカッションを行い、その中で様々な化学反応を起こしながらお互いの考えを深め合うことができました. 参加者は主に日本、中国、ヨーロッパ、中東からの学生で、このフォーラムを通して国際的な親睦を深めることもできました.
フォーラムでは5つのリーダーシップに関するセッションが開催され、参加者はリーダーシップ理論とその応用を学びました. また分科会では、ディスカッションを通じてフォーラムのメインテーマである“Technology, Responsibility, Society”についての事柄について議論し、リーダーシップ理論を実践的に活用する機会が与えられました. さらにキーノートスピーカーによるプロフェッショナルの視座からの講演もあり、参加者は包括的なリーダーシップの理解を目指しました.
毎日のセッションの中で、参加者はリフレクションセッションという反省会をする機会が与えられ、自分自身の一日の取り組みを評価し、その後グループでの反省会を通して参加者同士、ファシリテーターからフィードバックを受け、日々向上していくことができました.
ディスカッションのみならず参加者はフォーラムの中でライデン大学が管理している1633年から続く伝統的な展望台を見学する機会もあり、観測技術の発展と新たな発見に関する科学の歴史について、現地の修士 と 博士の学生からの説明を受け、科学に関する知識を深める事ができました.
分科会
参加者は、グループごとに様々な角度から2017年のテーマ‘Technology, Responsibility, Society'に関連した議論を行いました. リーダーシップセッションで学んだことを実践するとともに、未来の社会におけるテクノロジーの側面に考えるセッションとなりました.
ロボット、人工知能との共存
全てのテクノロジーには長所と短所があり、開発者の思ってもいなかった形で使用されることもあります.技術を社会に導入する前にそのようなことを考慮することは、将来の科学者として重要だと考えます.
このセッションでは、未来の世界におけるロボットや人工知能の立ち位置について議論することで、人間社会がどのような影響を受けるかを予想しました. 各々が夢の技術について考え、その技術の利点や欠点について想像を膨らませ、ロボットと人間が共存する世界の中で、「国のトップになる権利をロボットに与えるか」などの与えられた問いについてディスカッションを行いました. 最終的には未来の世界をグループごとに絵にして発表しました.
ブランチング・アウト
このセッションでは、参加者全員が、IT業界の変遷を模した「分岐ゲーム(ブランチング・アウト)」を通して厳しい状況での判断力を鍛える経験をしました.
センスメイキングの実践として、このゲームは複雑なシステムを短時間で理解し正しい選択をする力を要求しました. また資源の取引という選択肢を活用することで物事の関連性を把握する場となりました.
インフラストラクチャー
インフラは現在の社会で大きな役割を果たし、国の繁栄をも左右します. このセッションで参加者はインフラの重要性を議論するとともに、インフラを発展させていく様をシミュレーションしたゲームを行い、協力し、先を考える力を鍛えました.
グループのメンバー一人一人がオランダの都市の代表として、どのように投資して、都市、または国全体のインフラを充実させていくか、バランスを考えるセッションとなりました. 複数のステークホルダーが存在する中で先を予想する難しさを参加者は実感しました.
施設訪問:ライデン天文台
STeLA リーダーシップフォーラムの施設訪問では、参加者はスタッフとともにライデン天文台を訪問し、ライデン大学の天文学部の修士生、博士生に案内していただきました. このツアーはライデン大学の提供をいただき、行われました.
ライデン大学は1633年からこの天文台を所有し、教育・研究のために使用してきました. 1861年の増築により、ライデンにおける物理の黄金時代は始まり、オネス(超電導)やローレンツ(ローレンツ力)、ゼーマン(ゼーマン効果)などのノーベル賞受賞者を含む優秀な研究者を多く輩出しました. 現在は、研究機関ではなく、歴史ある大学の象徴として保存されています.
参加者は、オランダの科学者たちによる天文学や物理学の発展を学び、約1世紀前に使われていた望遠鏡とその仕組みを見学しました.